とりあえず読んでみる
本の感想を思いつくままに書いています。読んだ順番ではありません。   あと非常に偏った趣味なのでその辺もご理解いただけると嬉しいです。    ※画像の大きさがおおざっぱなお勧め度です。

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エルニーニョ 中島京子

DV男から逃げる女性がたまたまたどり着いたところで男の子に会うところから話は始まる。
おばあさん、主人公、ニノとこの3人の不思議な関係が非常にいい。
幸せの形はいろいろあるとこう言ってしまうと安っぽい感じに思えるが、それをきちんと説得力をもった形で描き出すのはなかなか難しいことだと思う。
中島京子のいいところは資料を使ったことを自慢げに強調しないところだが、本作でも、わりと細かいところまで構成してあるのがうかがえるので、かなり丁寧に調べたことが分かる。
ともすると知識をひけらかしがちになる作家がたまにいるが、そもそも何のために資料を必要とするかを考えれば、それが本末転倒であることは明らかだ。
その点、中島京子は決して"学習発表"などしない。あくまでも創作上の工夫にとどめており、非常に好感が持てる。
エルニーニョ (100周年書き下ろし)エルニーニョ (100周年書き下ろし)
(2010/12/10)
中島 京子

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平成猿蟹合戦図 吉田修一

最初はタイトルの意味がよくわからないが、読み終えてみるとなるほどと思う。
さすが完成度が高い。
久々の新作というファンの期待に十分にこたえられる内容だろう。
人間関係を複雑にからめながらも、不自然な感じがせず、いろいろな主張を混ぜながらも読み手を不快にさせない。
このうまさが吉田修一の魅力なのだろうと改めて思う作品である。
平成猿蟹合戦図平成猿蟹合戦図
(2011/09/07)
吉田修一

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来たれ、野球部 鹿島田真希

ライトノベルのような表紙で、鹿島田真希が宗旨替えしたのかと思い、ちょっと期待して読んでみたが、はっきり言って期待外れだった。
序盤は若干薄っぺらさはあるものの、とりあえず読みやすくしようという姿勢が見られ、好感が持てたのだが、中盤から徐々に鹿島田真希の悪いところが出てくる。
まず、語り手の変更が伝わりにくくなる。これは序盤できちんと描き分けることができていないためだ。
それから物語を作るというより、単に自分の考えをぶちまけるような展開になってくる。
会話の流れが完全にコントロールされていて、決められた台詞を練習通りに双方がしゃべっているようにしか見えず、ひどく不自然な会話に思える。
しかもその会話の内容も鹿島田真希のいつもの自己満足炸裂という感じで、とてもとても楽しめる内容ではない。
挙句に、喜多という中心人物が妙に胡散臭い。いかにも作り物という人格で、こういう登場人物が実際の男の子だと思って生きてきたのだろうかと疑問に思ってしまう。
ネタばれになるので詳しくは書けないが、それって喜多のような奴を魅力的だと思っているのか?とききたくなってしまうような気持ち悪さがある。
鹿島田真希はたぶんたくさんの人間を操れないのだろうということが露呈してしまったし、自分がかわいいから自殺はしないタイプだなというのもわかる。生と死の境界線があいまいになる年頃の描き方としては不十分としか言いようがない。
ただ、序盤だけでも多少広く読ませようと工夫したという点については今までの鹿島田真希の作品の中でははるかにいい方だろうと思う。
来たれ、野球部来たれ、野球部
(2011/09/21)
鹿島田 真希

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「ワタクシハ」 羽田圭介

かつてここまで「就活」を残酷に描き出した作品があっただろうか。
羽田圭介はおそらく経験者なのだろう。描かれている大学生がとてもリアルだ。それだけではない。この作品はいわゆる都市伝説の類までも、嘘とは言い切れない、という書き方をしている。
真実だとは書かない。だが、否定もしない。ここがこの作品において非常に重要な要素だ。冷静に考えれば、そんなことはあるわけがないと思う。
だが、本当にないといいきれるか。「就活」を真剣にやった人間なら、それが嘘とも言い切れないと思ってしまう心理はよくわかるはずだ。逆にいえば、そんなもの都市伝説、と一蹴できてしまうような人間には絶対に描き出せない大学生の顔がある。
そして就職活動の行きつく先も決して楽な世界ではないことをうまく暗示している。
世の中は厳しいとうるさくいう人間に限って、何がどう厳しいのか示せないことが多いが、この作品は就活を題材にすることで社会の厳しさを描き出している。
その点でも高く評価すべき作品だろう。
「ワタクシハ」「ワタクシハ」
(2011/01/18)
羽田 圭介

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俳優・亀岡拓次 戌井昭人

主役はやれないが、脇役としてはそこそこ仕事のある俳優・亀岡拓次がいろいろな撮影現場に行って、そこでのことを描いたもの。
何かが起きるような起きないような微妙な線だ。
確かに事件らしきものというかアクシデントはあるのだが、そこに焦点を当てた作品ではない。
なんというか奇妙な人間たちが奇妙なことをするとしか言いようがない作品である。
だが、その奇妙な人間に妙に説得力があり、これはこれで楽しめる本である。
俳優・亀岡拓次俳優・亀岡拓次
(2011/09/01)
戌井昭人

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僕のメジャースプーン 辻村深月

辻村深月はそこそこ面白い話を書く作家、くらいのイメージしかなくて、まあそこそこ楽しめるからと読んでいたのだが、まさかこんな面白い作品を書いていたことがあったとは。
もちろん突っ込みどころがないわけではない。
だが、突っ込みどころがあってもそれを吹き飛ばせるだけの力があればそれは問題にならないのだ。
主人公の少年が打った最大の博打、この一番の見せどころを辻村深月は外さなかった。
そこへ導く展開もうまく、主人公が何を考えているか伏線を張りつつも、別の方向に誘導されてしまう。
さらにもう一つ、別の伏線を意外な展開に持っていったラストも素晴らしい。
その点ではミステリーとしても高く評価していい作品だろう。
もちろんこの話はミステリーというのとは少し違うジャンルになるだろう。
しかし、そんなことは問題ではない。
主人公が超能力的なものをもっていようと、トリックとは関係なかろうと、これは推理小説と同じような「してやられた」感を読者に与える作品だろう。
その一方で、決して主人公が小学生であることから離れていない。変に大人びた子どもにすることもなければ、やたら幼く書きすぎるような真似もしていない。
だからこそ幅広い世代に通じる作品なのではないだろうか。
ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)
(2009/04/15)
辻村 深月

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かたちだけの愛 平野啓一郎

たまたま女優の事故現場を目撃し、その女優から義足を作るように頼まれ、そのまま恋愛に発展するというまあわかりやすいと言えばわかりやすい話ではある。
しかし、これを平野啓一郎が書いた、というところは大きいのではないだろうか。
どちらかというと難解な文章を好む傾向があると思ったが、今回の作品は非常に読みやすい。しかし文章自体にはやはり平野啓一郎らしさを感じる。
そういう点で、かなり洗練された作品ではないかと思う。
形も大事だという発想はそれなりに説得力はあるし、マスコミの傲慢さの描き方も彼らしくて好感が持てる。
かたちだけの愛かたちだけの愛
(2010/12/10)
平野 啓一郎

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バイバイ、ブラックバード 伊坂幸太郎

5股かけていた男がある事情から5人の女に別れを告げに行くという話。
それぞれの出会いと、まあ別れ方などが書かれているのだが、まあたぶん伊坂が好きな人には楽しめる本だろう。

たぶん「ゴールデンスランバー」を境に伊坂は理不尽さを追究しないことを選択したのではないだろうか。
世の中には理不尽が存在する、それでいいと。しかしそこにある原因や社会構造などを考えないと説得力はなくてただのインチキホラーと同じ、「とりあえず理不尽な感じにしておけば怖がってくれるでしょ」とでもいうような書き手の傲慢さを感じる気分の悪い小説になる。
だいたい二か月の間に何があったんだ?何も書かれていない。
借金の原因もよくわからない。怖い人ってのがどんな人なのかもよくわからない。
明かす気がないなら最初からそれを伏線にするなと言いたい。
それが後半に解き明かされる謎であるかのように引っ張って、結局書かないというのは反則技のようにも思える。
それが反則技だと思ってしまう私は伊坂と価値観が共有できないし、その結果この作品もそこまでは楽しめない。
ただそれぞれ女性との出会いのエピソードはそこそこ楽しめる。結局そこだけが楽しめる本であるともいえる。
バイバイ、ブラックバードバイバイ、ブラックバード
(2010/06/30)
伊坂 幸太郎

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ピースメーカー 小路幸也

中学1年生の主人公が同じ放送部の友達といろいろ学校内の事件を解決するという話。
時代背景が70年代半ばということでこの時代の中学生はこんな感じだったということだろうか?
仮に70年代の中学生がこんな感じだったとすると、かなり幼くないか?
と思ってから、ふと気付く。
つまりそういうことなのでしょう。今の中学生は昔の中学生に比べて幼いという老害予備軍の方の話をよく聞かされるけれど、何しろ昔の中学生とやらがどれほど大人だったのか知らない私としては(とはいえ私の中学時代ももう随分前なので、私も昔の中学生ではあるのですが)、まあそういうものかと思うしかないわけです。
ところがこの作品に描かれている中学生は、むしろ小学生に近い雰囲気をもった中学1年生であって、いまどきの中学生とあまり差がない感じになっています。いやむしろ幼いくらいかもしれません。
そう考えると「昔の中学生」は多分に美化された思い出の産物であることを示しているともいえます。
そういう時代背景的な部分を含めてもそんなに違和感なく読めると思います。
事件もほほえましいものばかりで、まあ子供にも勧められる作品と言えるでしょう。
ピースメーカー (文芸)ピースメーカー (文芸)
(2011/01/14)
小路 幸也

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Nのために 湊かなえ

読んだ時期が悪かったのか、全く楽しめなかった。
Nと言えないこともない人がたくさん出てきて、事件が起きる話。真相は最後に明らかになるよ、みたいなそれだけ書くとそこまでひどい作品でもなさそうに思える。しかし、これが読んでみるとほんとうにつまらないのだ。
登場人物を多面的にとらえようとするのはいいのだが、結果として、人物像がごちゃごちゃになっていて、それがまた変な人が多いものだから、それにつきあうのに疲れてしまう。
最終的に真相が明らかになって、ここまで引っ張ってしかも突っ込みどころ満載の真相ってそれはないよと思う。
人物の描き方もだめなら、事件の真相もだめだ。
せめてどちらかで楽しませる作品になっていたらよかったのだが、結局物語を引っ張らせる核のようなものが何もなかった感じがする。
もう少し暇な時期に読んだら話は違うのかもしれないが、とりあえず今はこんな話につき合ってられないと思った。最後まで読んで言うのもなんですけどね。
NのためにNのために
(2010/01/27)
湊 かなえ

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誰にも書ける一冊の本 荻原浩

父の死に際して、父が残した原稿を読むことで自分の知らなかった父の面を知るという話。
父親の原稿と現代とが対比されていて、時代は変わっても人間の中味はそうそう変わらないということがメッセージとして浮かび上がってくる。
ただ最後のほうでまとめにいってしまった感じがしてそれがちょっと気になった。
まとめるのがいい作品もあるし、個人的にはそういう作品のほうが好きな場合が多いのだが、この作品でまとめに行ってしまうと説教臭さが出てしまうような気がする。
ただそれは些細な問題で作品としては完成度が高いものだといえるだろう。
誰にも書ける一冊の本 (テーマ競作小説「死様」)誰にも書ける一冊の本 (テーマ競作小説「死様」)
(2011/06/18)
荻原浩

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俺俺 星野智幸

俺俺詐欺をきっかけに妙なことが起こり始める、という出だしは聞いていたのだが、こういう展開になるとは思わなかった。
詐欺を働いたから~という勧善懲悪の話などではない。
自分の価値とか他者と違うというのはどういうことかというのを考えさせられる話になっている。
しかし、説教臭くないのでエンターテインメントとして十分に楽しめる。
「オンリーワン」なんて言葉を安っぽくつかう人に是非読んでもらいたい作品であり、そういう人たちにうんざりしている人にもお勧めしたい本である。
俺俺俺俺
(2010/06)
星野 智幸

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鬼 今邑彩

ホラーというかミステリーというかなかなか微妙な分類の話を集めた短編集。
わりと面白い話もあるし、先が読めてしまってがっかりな話もある。
だが、全体的な完成度は高い。別に話自体は全くつながっていないのだが、がっかりな話も含めて、ついつい一気に読んでしまった。
比較的短いページ数で謎のようなものを出し、きちんとそれっぽく終わらせているという点ではどの話もそれなりに評価していいだろう。
長編だと疲れるが、短編だと楽しめるといういい例かもしれない。
鬼 (集英社文庫)鬼 (集英社文庫)
(2011/02/18)
今邑 彩

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