とりあえず読んでみる
本の感想を思いつくままに書いています。読んだ順番ではありません。   あと非常に偏った趣味なのでその辺もご理解いただけると嬉しいです。    ※画像の大きさがおおざっぱなお勧め度です。

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風待ちの人 伊吹有喜

四十九日のレシピ」がドラマ化された伊吹有喜のデビュー作。
四十九日のレシピよりも完成度としては落ちるが、いわゆるアラフォーの気持ちの動きや現実をうまく描いている。しかも光の当て方がどこかやさしい。
題材としては決してきれいなばかりではない。うつ病になりかけの主人公、子どもをなくした女、掲示板に悪口を書きこむ連中、ちょっと視点を変えれば昼ドラにでもなりそうな不倫ものの作品にもできる。しかし、この作品はそんな下品な作りにはなっていない。
ドロドロのラブストーリーとか性格の悪い家族の骨肉の争いとかそういうものをいやらしく描くのこそリアルだと勘違いしている書評家もどきをよく見かけるが、そういう描き方をせずとも十分にリアリティのある作品になることを証明している作品といえるだろう。
登場人物たちの抱えている状況は決して幸せなだけではない。だが、不幸で埋め尽くすほどのものでもない。その中から読み手を不快にさせないようなものを選びながら物語を紡ぎだしたこと、これをデビュー作でやってのけたところがやはり並の書き手ではないと感じる。
風待ちのひと (ポプラ文庫)風待ちのひと (ポプラ文庫)
(2011/04/06)
伊吹 有喜

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偉大なる、しゅららぼん 万城目学

久々に万城目学の良さが出ている作品だと思った。
むちゃくちゃな設定を最後まで押し通すという簡単なようでなかなかできないことができていて、読んでいて心地よかった。
むちゃくちゃな設定を貫くことのむずかしさは万城目自身が過去3作品でよく示している。
プリンセス・トヨトミ」は途中から完全に崩壊していたし、「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」に関してはもはや小説の体をなしていなかった。
だが、この作品はインチキファンタジーにありがちな巻き添え感による反発を覚えない作品として非常に完成度の高い作品といえる。
現実感を出そうとして、現実を無理やり巻き込み、その結果として突っ込みどころを増やし、反感を覚える作品は意外と多い。そういう安っぽいストーリーは一部のハリウッド映画だけで十分だ(もちろん私はそういう安っぽいインチキファンタジー映画は見ないが)。
この作品は、現実世界を巻き込むことが簡単な方法としてあったのだが、あえてそれをせず、あくまで一族の問題にとどめたところがよかった。
逆にいえば、無駄に現実世界を巻き添えにしなくても作品世界に読者を取り込めるのだということを示したという点で、優れた作品といえるだろう。
偉大なる、しゅららぼん偉大なる、しゅららぼん
(2011/04/26)
万城目 学

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光待つ場所へ 辻村深月

辻村深月が今まで書いてきた作品の脇役を主人公にした短編を3つならべた作品。
したがって、それらの作品を読んでいることが前提となっている。
そのため、最初の話は「冷たい校舎の時は止まる」を読んでいたので、まあ理解できたが、しかし清水という女が最初の作品に比べてかなりつまらない人間になってしまっていた。
新しいキャラをより魅力的である設定にしようとして、それまでそこそこ魅力的なキャラを平凡なキャラにして引き立てさせるという手法は、たぶんその前の作品が好きな人に嫌われると思うのだが、どうだろう?
2話目は「スロウハイツの神様」に出てくるらしいキャラが出てくる。スロウハイツの神様を読んでいないので、楽しめなかった。つまり、独立の作品として楽しめるほどは面白くない。
3話目がこの本では一番楽しめるものといえるだろう。ただやはり「凍りのくじら 」を読んでいなかったときにそこまで楽しめたかは疑問である。
そういうことを考えると、単体ではそれほど高い評価は出せない作品ではないだろうか。
光待つ場所へ光待つ場所へ
(2010/06/24)
辻村 深月

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アネモネ探偵団2 迷宮ホテルへようこそ 近藤史恵

子供向けミステリーということであまりにも子供を意識しすぎて、いわゆる私立中学に通う中学生にしては少々幼すぎるようにも感じられるため、どうも高い評価は出しにくいシリーズではある。
前回よりよかったのは、「あとがき」があったことと、事件が比較的普通のものだったことである。
もちろん突っ込みどころがないわけではないが、まあこれならかろうじてセーフだろう。
それにしても近藤史恵は、子供向けだったらこんな雑な作りでいいとでも思っているのだろうか?
大人向けの推理小説を書く時のような丁寧さをこのシリーズからは感じられないのが残念だ。
アネモネ探偵団 2 迷宮ホテルへようこそアネモネ探偵団 2 迷宮ホテルへようこそ
(2011/03/04)
近藤 史恵

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太陽のパスタ、豆のスープ 宮下奈都

結婚が破談になった女性が新たに人生をやり直そうとする物語、と書いてしまうと何かが違う。
人生をやり直すというよりはちょっと見方を変えただけなのだが、それによって主人公は大きく成長した感じに見えるため、人生をやり直した、といってもそこまで大げさな感じではない。
仕事の本質というか宮下奈都の仕事観のようなものは「スコーレNo.4」にも同じような話が書かれているので、少しかぶるような気がしないでもないが、この本は仕事観がメインではないからまあいいだろう。
元婚約者がどういう人間だったのか、今一つつかみきれないのがちょっと気になるが、だからこそ破談になったと考えればこれはこれで説明がつけられないこともない。
太陽のパスタ、豆のスープ太陽のパスタ、豆のスープ
(2010/01/26)
宮下 奈都

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The MANZAI 6 あさのあつこ

漫才コンビを結成させられる中学生の話のシリーズ最終巻。
少々惰性で続いているなあという気はしていたものの、やっぱり終わったら終わったでさびしいですね。
文章としてはかなり乱れていて、たぶん中学生の語りというのを意識した結果ここまで崩れてしまったという感じでしょうか。
こうやって無理して崩さなくてもいい気はしたんですけどね。
どうせ収集つけるためにコントロールしているのだから、表面だけ中学生っぽさを取り繕おうとしなくてもいい気はしました。
ただあさのあつこに慣れている人なら普通に楽しめます。
シリーズ最終巻だし、この程度の暴走は許容範囲でしょう。
The MANZAI 6 (ポプラ文庫ピュアフル)The MANZAI 6 (ポプラ文庫ピュアフル)
(2010/08/26)
あさのあつこ

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末裔 絲山秋子

久々に絲山秋子の長編っぽいものを読んだ。
定年の近いおっさんがある日、家の鍵穴がなくなるという奇妙な事態に遭遇し、ファンタジーのような展開を見せる。
しかし、そこをファンタジー寄りではなく、現実寄りで処理したところがいい。
確かに突拍子もない出来事は多々起こるし、ファンタジーに分類できないこともなさそうだ。
だが、人間関係が非常に現実的な関係のままで動いているために、これだけ変な事柄を詰め込みながらも、決して説得力を失わない。
いわゆる幻想小説とも違う、独特の作品といえるだろう。
末裔末裔
(2011/02/16)
絲山 秋子

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孤独かそれに等しいもの 大崎善生

読みながら、ありきたりな短編集だなと思った。
ただ何か小説が読みたい、という時にいい本だと思う。
適度に深刻で、適度に描写があって、適度に読みにくさがあって、一応大人が読む本としての体裁が整っている。
抱えている問題がいかにも小説の題材的な感じで、現実にあったとしたら深刻な問題になるのだろうが、この本では主人公の深刻さが、いかにも文学の世界といった感じで、何かガラス越しに見ているような感じにしかならない。
そんなに悪い作品とも思わないのだが、どうもこれといったセールスポイントはないような気がする。
孤独か、それに等しいもの (角川文庫)孤独か、それに等しいもの (角川文庫)
(2006/09/22)
大崎 善生

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おれのおばさん 佐川光晴

父親が事件を起こしたために、児童施設をやっているおばさんのところに預けられる羽目になる主人公の少年の話というのが簡単な説明になる。
なんといってもいわゆる「勉強ができる少年」の描き方がいい。
この手の少年は、がり勉として悪者にされがちで、勉強よりも素晴らしいことを見つけました~というくだらない展開に持ち込まれる者が多い中で、この作品はいわゆる有名中学を受験するタイプの少年をとてもリアルに描いている。
つまり妄想の中にしかいない少年ではなく、きちんと実態をもった少年として把握できる存在として描かれている。
だからこそ突拍子もない展開が妙に説得力をもつ。
波子との話は少々蛇足のような気がしないでもないが、全体としてはとても好感度の高い作品といえるだろう。
おれのおばさんおれのおばさん
(2010/06/04)
佐川 光晴

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青天の霹靂 劇団ひとり

いわゆるタレントの書いた小説という点で言うなら、この本はなかなかよくできた小説といえるかもしれない。
もちろん素人臭さがないわけではないが、主人公の一人称にしてあるので、その素人臭さを逆に利用しているともいえる。
そういえばある文学賞の選考委員が「一人称の小説は推さないことにした」というような話を以前書いていたが、それはこういう理由なのかもしれない。
つまり、素人臭さがわざとなのか、それしか書けないのかが区別しにくいということだ。
確かにこの作品はこれでなかなか面白い。
しかし、それは劇団ひとりが、芸人であるという職業柄かも知れないが、ある程度自分の能力を把握したうえで、自分の強みを利用した書き方をしているからである。
それが素人臭さを逆手に取るということだ。
タレント小説としては、この作品は完成度が高い。
だが、劇団ひとりが芸人であるという事実を頭において読まない人はやめたほうがいいかもしれない。
青天の霹靂青天の霹靂
(2010/08)
劇団ひとり

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